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移り気MAX

記憶障害なのか、ただの移り気なのか。明日忘れないために今残そう。テレビ。映画。音楽。特撮。マーケティング。メディア。

「逃げ恥」のタイムシフト視聴対策が、結構スゴイ気がする。

 民放各局の視聴率調査を行うビデオリサーチ社は、この10月から従来の「リアルタイム視聴率」に加え、HDレコーダーなどで録画した番組を後から視聴した「タイムシフト視聴率」を関東地区で調査し始めた。そして2つの視聴率から重複を排除してから足したものが特定の番組の「総合視聴率」と呼ばれるようになった。

 

 この総合視聴率、すでに今クールの連続ドラマにおいて非常に興味深い数字を出している。特にTBS系列で放送中の火曜ドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」、通称『逃げ恥』は驚異のタイムシフト視聴率として話題になっている。

『逃げ恥』の好調ぶりは、リアルタイム視聴率だけではなかった。10月3日からビデオリサーチ社がタイムシフト(録画再生)視聴率の本格調査を始めたが、TBSが明らかにしたところによると、初回のタイムシフトは10.6%で、リアルタイムを超える驚異的な数字をマーク。リアルタイムとタイムシフトを合わせた総合視聴率(重複視聴は除く)は19.5%にも及んだ。 

http://www.cyzowoman.com/2016/10/post_22471.html

 

 

 昨今のドラマ不況、数字の高いドラマが極めて限定的な現状でこのニュースは朗報だ。しかし、このタイムシフト視聴率によって連続ドラマが見直されるようになったとして、その広告価値がまるまる見直されるか、というと疑問が残る。

タイムシフト視聴にはCMスキップ問題があるからだ。自分の経験に照らし合わせても、8割のCMは早送りでスキップされる。スキップされない一部のCMはCM明け直前のものくらいだ(レコーダーの早送り精度の低さゆえに直前のCMから見る必要があるのだ)。

 

 そんな中早速『逃げ恥』はスゴイ手を打ってきた。いやそこまで特別なことではないのだが、よくよく考えると非常に考えられている手だ。

それは、有り体に言えば進化したプロダクトプレースメントとでもいうべきか。つまり、番組の枠内でのブランド告知なのだが、少し考え方を変えれば、ウェブメディアの広告における、純広枠からネイティブ広告への変化にも対応している割と先進的な事例ではないかと思う。

 

 それはこんな感じである。

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  • 登場人物皆でぶどう狩りに行くことになり、石田ゆり子演じるガッキーの叔母で化粧品会社に勤めるキャリアウーマン(ドラマ内の描写から宣伝部に所属)が車を出す。
  • まず、その車がスポンサーである日産の黄色いJUKEなのである。そもそも化粧品会社の40代バリキャリウーマンがJUKEに乗っているということが異常に呑み込み見づらいのだが、JUKEのフォルムが割と外車のSUVっぽいので、知らなければ、あら、あの車何かしら?かわいい!となることは考えられる。(恐らく狙っていると思う。)
  • ひとしきりぶどう狩りの中でJUKEを乗り回すゆり子と一同。その途中で、イケメン俳優の大谷亮平が役のままにJUKEを紹介するミニコマが突如出現するのだ。こちらもCMに入るのでなく、あくまでドラマの流れの中で行われる。

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 どうだろう。劇中で石田ゆり子が黄色いJUKEを運転し印象を残しつつ、実はあのカワイイ車は日産のJUKEでした、とイケメンが明かすミニコマを挟むぬかりのなさ。若年女性を中心とするであろうドラマのターゲットに上手くJUKEをプレースメントすることに成功しているのではないだろうか。

 劇中での車の登場+ミニコマだけ、といえばそれまでなのだが、視聴者の属性に合わせて非常に周到に計画されていることがわかる。

 昔から日産はドラマやバラエティの番組内に自らを使わせるプロダクトプレースメント的手法を多く使ってきた会社ではあるが、これは鮮やか!かつタイムシフト視聴に対応した極めて綺麗な事例だと感じた。