評判になっているゼクシィのコピー。実は様々な業界に適用できる説。
今年のゼクシィCMのコピーが話題だけど、ゼクシィ側にとって、そこまでこれまでと違うスタンスに立ったものじゃないんじゃないかな、というのが前の記事でした。
しかし、このCMで提示されたコピーの論法は、実はいろんな業界に適用できるのではないか、というのが今回の話です。
今回のゼクシィCMコピーの論法は、相対化でした。つまり、
結婚しなくても幸せになれるこの時代に、私は、あなたと結婚したいのです
という表現は、世間の環境を一旦相対化し、俯瞰して見たうえで、それでもなおその選択肢を選び取る対象を称揚する、という方法と考えられます。
この方法は、商材やサービスのターゲットに対して、敢えてそれを選ぶあなたは素晴らしい、とアゲてモチベーションを高めつつ、ターゲット外のうるさがたに対し、 自分たちに不利かもしれないのに、正確に市場を描写してエライ、とホメられる二重の効果を生み出します。
この方法が使えるのは、これまで当たり前の選択と思われてきたものが、あたりまえでなくなった業界に対してです。「結婚」はその最たるもの、と言っていいでしょう。
そういう意味で例えば「クルマ」は本コピーのアプローチが使える商材といえます。特に都市部では、持たなくても生活が成り立つわけですから。
クルマを持たなくても、普通に暮らしていけるこの時代に、私はクルマに乗って出かけたいのです。
クルマを持つことは不可欠ではないけれど、持つことで出来る事が格段に広がる、そんな生き方を選び取る事を称揚する。若者のクルマ離れ対策に活用可能といえます。
他には「お酒」 お酒を飲まなくたって、楽しく時間を過ごせるこの時代に、私はお酒を飲んで楽しく過ごしたいのです。
「持ち家」 無理して家を建てなくても家族でいられるこの時代に、私たちは、家を建てたいのです。
一見合理的ではないけれど、選ぶことで、合理を超えた「幸福」を得られるというロジックが成り立ちそうな業界に適用可能といえるのでしょうか。逆に言えば、合理的に考えると選ばなくてもいい、過去のアタリマエが、消費の現場に数多く鎮座している、ということを浮き彫りにした、といえなくもありません。
いずれにせよ、このタイプのアプローチ、手を変え品を変えしばらく流行るのではないか、と思った次第です。